Story

複雑な電気設備を、ボタンひとつの意思決定へ。電気設備技術者がHardwire Labを始めた理由

#思い

電気設備の設計・施工において、私たちが日々費やしている時間の多くは、本当に「エンジニアリング」と呼べるでしょうか。

図面間の整合性チェック、複雑な空間での干渉確認、変更に伴う系統図や盤図の修正ループ……。これらは本来、技術者がやるべき「意思決定」ではなく、ただの労働集約的な「作業」です。
最新のツールやBIMが導入されても、現場の実態は今も、図面間の「転記」と「目視確認」という人間の勘と根性に依存しています。
手戻りのリスクに怯えながら図面を追う時間をなくし、現場の技術者が本当に必要な「判断」だけに集中できる環境を作りたい。

「複雑な電気設備を、ボタンひとつの意思決定へ。」

目指しているのは、複雑な回路の検討や不整合のチェックがボタン一つで完了し、技術者は最終的な「判断」を下すだけで済む状態です。手戻りのリスクに怯えながら図面を追う時間をなくし、現場の技術者が本当に必要な意思決定だけに集中できる仕組みを実装するために、私はHardwire Labを立ち上げました。

抽象的な「情報の統合」から、具体的な「作業の排除」へ

電気設備業界でも「BIM」や「DX」が叫ばれて久しいですが、現場の実態はどうでしょうか。

私たちがアプローチするのは、抽象的な「情報の統合」ではありません。現場の技術者の時間を奪う、具体的で苦痛な作業を一つずつソフトウェアで置き換えることです。
まずは、電気設備において最もミスが起きやすく手戻りの致命傷になり得る「系統図とモデルの自動同期」や、複雑な空間検討といった分野から、アルゴリズムによる解決を実装し、徹底的に「手作業」を排除します。
システムがルールに基づき処理し、人間が最終判断を下す。手作業を一つずつ排除した先にあるのは、既存の労働集約的なワークフローの解体であり、「意思決定のインフラ」の構築という新しいエンジニアリングのあり方です。

現場のリアリティを知る、開発チーム

Hardwire Labの最大の強みは、開発主体が「プログラマー」ではなく、生産設計・施工の実務経験を持つ「電気設備技術者」であることです。

実務を肌で知っている私たちだからこそ、ITベンダーが提供するような机上の空論ではない、現場が真に必要とする実戦的な「武器(ツール)」を生み出せると確信しています。

なぜ、「Hardwire」なのか。

「Hardwire(ハードワイヤ)」とは電気設備の文脈で、物理的に直接配線(直結)する行為を指します。
設計から施工、現場管理に至るまで。現在は分断され、人の手による翻訳(転記・解釈)を必要としている工程を、まるで一本の回路のように論理的に繋ぎ合わせたい。
あやふやな解釈や手作業が入り込む余地のない、堅牢で確実なワークフローを構築すること。それが、技術者を終わりのない「作業」から解放し、本来の「意思決定」に集中させるための強固なインフラになると信じています。

最初の挑戦(系統図自動化)と、パートナー募集

Hardwire Labはまだ走り出したばかりの小さなチームです。 しかし、解こうとしている課題は、業界全体が長年抱えてきた難問です。

現在、私たちは最初のプロダクトとして「Revitモデルと完全連動する系統図自動作図ツール」を開発しています。これも、私自身が実務の中で「最も整合性の担保に神経を使い、かつヒューマンエラーのリスクを排除しきれない」と感じていた作業をゼロにするための挑戦です。

まもなく、パブリックプレビュー版として皆さんにお披露目できる予定です。 もし、現場の「不整合」や「単純作業」にウンザリしている方がいれば、ぜひ私たちのツールを試してみてください。そして、忌憚のない意見をぶつけてください。

現場を知る皆さんと共に、電気設備のワークフローを「あるべき姿」へ書き換えていきたい。
これから、Hardwire Labをよろしくお願いします。